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資本組入

1.利益準備金の資本組入
 旧商法においては、利益準備金の資本組入は認められていましたが(旧商法293条の3)、会社法に移行してからは、資本概念とと利益概念を峻別するため、禁止される事となりました。
 しかし、平成21年4月1日の計算規則の改正に伴い、それが再び認められることとなりました。 
 貸借対照表上の利益準備金は、現実にそれが預金通帳に残っていると言うものではなく、繰越利益準備金が過大であると、株主からの配当要求に対して苦慮することも考えられます。利益準備金の資本組入は会社経営者にとって見れば使用価値の大きい法改正と言えるかと思います。
 また商法時代には有限会社の利益準備金資本組入はできませんでしたが、会社法になってから、出来ることとされています。 

2.負債の資本組入
 「借金も資産の内」という言葉があります。貸借対照表上、資産=負債+資本であることを考えればうなずけます。
 さて、会社に対する役員等からの借入金は、中小零細企業にしてみれば、ある時払いの催促無し的な勘定が多いものの、相続財産の評価においては、しっかりと相続財産に組み入れられる性質を持っていました。そこでよく、その借入金を資本に組み入れることが為されていました。これはDES(Debt Equity Swap)と呼ばれ、負債と資本の交換という意味であります。資本は株主に対する負債と言うことを考えれば一定の合理性を持っていたと言えます。
 しかし借入金と資本金の性質の違いは返還義務があるか無いかです。資本金は会社解散時において残余財産分配という場面でしか株主に対する返還義務は現実化しません。一方借入金は債権者に対し返還義務を有します。その部分を捉えて、会社法施行において、時価額会計の要請から、DESにあたり税務署はその借入金の時価、即ち返還可能性を評価することとなったのです。そして返還可能性が認定されない場合、その金額は会社に対し債務免除益となり、法人税算定にあたり、その額を加算することとなりました。
 その結果、DESによる資本金増加の登記はめっきり減ることとなりました。
 
   


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